親権と養育費
親権と養育費について
親権とは?
子どもの親権には、身上監護権と財産管理権があります。
身上監護権とは、子どもの世話をしたり、躾・教育をすることです。
財産管理権とは、子どもに代わって財産を管理・法律行為をすることです。結婚している父母は共同して親権を行います。
子どもの親権の決め方
未成年の子どもがいる場合に離婚するには、夫(父)と妻(母)のうちどちらが親権者になるのか決める必要があります。当事者間で子どもの親権について合意できればいいので、まずは当事者による話し合いになります。
どちらが親権者になるのか当事者間で合意できなければ、協議離婚はできません。離婚届にはどちらが親権者になるのか記載する欄があるので、離婚届を受理してもらえないからです。
親権の変更
子どもの利益のため必要があると認める時は、家庭裁判所は親権者を他の一方に変更することができるということになっています。(民法819条6項)
しかし、現実的には親権変更は難しいので、離婚の際に親権を決める時には、後日子どもの親権を変更することは難しいということを考えて慎重に判断すべきです。
養育費ってどんな感じになるの?
養育費は、財産分与や、離婚の慰謝料とは性質が異なります。
養育費とは、子どもの権利として子どもが受けとるべきものであり、また親の扶養義務から子どもに支払う義務があり、子どもを引き取っていない親が扶養義務として負担するものです。
離婚したからといって、子どもの扶養義務はなくなりません。
養育費の決め方
養育費は当事者の話し合いで決めることができます。当事者の話し合いで、養育費について話がまとまらないのであれば、家庭裁判所で調停する必要があります。
離婚後でも子どもが成人するまでは養育費を決めることは可能ですが、離婚後の生活の安定のためには離婚と同時に養育費を決めることが大切です。
どうしても離婚したいからといって、養育費を決めない、あるいは養育費を支払ってもらわなくても良い、という約束をすることはお勧めいたしません。
養育費の相場
親は子どもに、親と同程度の生活を保障する義務があります。よって、養育費の金額は夫婦それぞれの収入の組み合わせで決まるためケースバイケースです。
家庭裁判所では養育費の相場を決める早見表が使われています。
家庭裁判所において、養育費又は婚姻費用の算定をする際に参考として活用している資料です。
養育費の支払方法
支払方法としては、子どもの生活費に使うため、1ヶ月ごとに払う約束が多いようです。
養育費を決める時のポイント
- 書面に残すこと
- 子どもがいくつになるまで、養育費を支払うのか。18歳までなのか、20歳までなのか、大学卒業するまでなのか
- 養育費の支払期限、支払方法
- 住所変更、電話番号の変更の時は連絡すること
- 将来の増額について、進学時の費用について
養育費の支払いの確保
養育費の支払いの確保という点では、約束違反(不払い)があった場合すぐに相手の給料などを差し押さえることができる「公正証書」の形で書面化しておくのがお勧めです。
家庭裁判所の調停で約束した場合も、公正証書と同じ効力があります。
養育費の増額請求、減額請求
一度決めた養育費も、事情が変われば、増額請求や減額請求ができます。
過去の養育費の請求
過去の養育費についても支払ってもらえる場合があります。
家庭裁判所の実務では、相手に請求した時(普通は、調停や審判の申し立てをしたとき)から相手に支払い義務が認められているようですが、申し立て前でも証拠の残る内容証明郵便で請求しておくのが賢明です。
